夏馬の眼

心に残る本や映画のお話しです。

コミック

『だがしかし』――コトヤマ

ベストセラーコミックを取り上げるのもどうかと思うが、とはいえ、正直なところ思いがけず良かったものだから、そんなつまらないカッコつけはやめて取り上げます。 いわゆるオッサンとしては、 ・駄菓子が懐かしい(子供との話題にもなる) ・ほたるさんが妙…

『ACCA13区監察課』――オノ・ナツメ

オノ・ナツメというのは不思議な作家だ。デビュー以来、体温が変わったことがない。作品と作品の間でもそうだし、作品の中でもそうだ。常に平熱。オノ・ナツメの体温。 本作は架空の連合王国における「監察課」という役職の物語。主人公のオータスと、その妹…

『Papa told me』――榛野なな恵

Wikipediaには、「都会で孤独に生きる人の心を繊細に描いており、この点も読者の共感を呼んでいる」とずいぶん柔らかく表現されているが、「孤独に生きる人」というのは、結婚しない人であり、子供を持たない人であり、母子・父子家庭の人であり、そして――こ…