夏馬の眼

心に残る本や映画のお話しです。

2018-05-20から1日間の記事一覧

『だがしかし』――コトヤマ

ベストセラーコミックを取り上げるのもどうかと思うが、とはいえ、正直なところ思いがけず良かったものだから、そんなつまらないカッコつけはやめて取り上げます。 いわゆるオッサンとしては、 ・駄菓子が懐かしい(子供との話題にもなる) ・ほたるさんが妙…

『眼の誕生』――アンドリュー・パーカー

言わずと知れた名著である。 なぜカンブリア紀に生物の爆発的な多様性が起きたのか?に対する回答が、「眼の誕生」の意味するところなのだが、実を言うと、カンブリア紀についてこれだけテーマを絞って書かれた本というのは、本邦ではこれしかない。(昨年の…

『137億年の物語』――クリストファー・ロイド

「宇宙が始まってから今日までの全歴史」とのサブタイトルがついている。大きな話だ。大きすぎて眩暈がする。500ページに迫る大部だが、おもしろいのは300ページまで――そこで、コロンブスが登場する。それ以降、読者はひたすらこの星における人類の愚かな振…

『ACCA13区監察課』――オノ・ナツメ

オノ・ナツメというのは不思議な作家だ。デビュー以来、体温が変わったことがない。作品と作品の間でもそうだし、作品の中でもそうだ。常に平熱。オノ・ナツメの体温。 本作は架空の連合王国における「監察課」という役職の物語。主人公のオータスと、その妹…